腸にやさしい生活のためには

大きく3つのポイントが重要となります。病気によって便秘や下痢が起きている場合は、原因となっている病気を治療しないと改善しませんが、ほとんどの場合は、生活習慣に気をつけることで予防したり、症状を改善することができます。ふだんの生活を見直して腸にやさしい生活を送ることが、いちばんの治療になります。

ポイント1「健全な食生活」

栄養バランスに注意し、食物繊維をしっかり摂る

  • バランスのとれた食事
    偏った食生活は、腸内の環境を悪化させ、腸のトラブルを起こしやすくします。まずは、栄養バランスのとれた食事をとることが大切です。
    いわゆるファストフードや出来合いのお弁当ばかり食べていると、どうしても脂質や炭水化物が多く、野菜や海藻類、豆類が少なくなりがちです。このような場合は、野菜や海藻類、豆類を使った副菜を加えるなどして、栄養バランスを整える工夫が必要です。
    また、暴飲暴食は胃や腸に負担をかけますし、香辛料やアルコール、脂質をとり過ぎると腸を刺激してしまうので、注意します。
  • 食物繊維
    食物繊維には、2つの働きがあります。1つは便に適度な軟らかさを与え、便の形をつくることです。
    もう1つは、腸を刺激して運動を促し、便を出しやすくするという働きです。
    食生活の欧米化により、日本人の食物繊維の摂取量は減っています。成人の1日に必要な食物繊維の摂取量は、20~25gとされていますが、平均で14gしかとれていないのが現状です。
    100g中に含まれる食物繊維の量が多い食品は、「きくらげ」「干しひじき」「干ししいたけ」などです。こうした食品を食べれば、必要な量の食物繊維が簡単にとれるように思えますが、これらの食品1種類だけでとろうとすると、たいへんな量になってしまいます。
    1回に食べる量で食物繊維を多く摂取できるのは、「納豆」「おから」「きんぴらごぼう」「干しあんず」などです。いろいろな食品を組み合わせ、バランスよくとるように習慣づけます。
  • 水分摂取
    水分の摂取量が少ないと、便の水分も減って硬くなり、排泄しにくくなります。特に汗をたくさんかいたときは、こまめな水分補給が大切です。ただし、水分をあまりにとり過ぎると、便がゆるくなることもあります。
  • 規則正しい食生活
    食事を時間どおりに規則正しくとることで、腸も規則正しく働くことができます。特に、朝食を抜くと「胃・大腸反射」が起こりにくくなるといわれています。朝食をとる時間を確保し、きちんと食べることが重要です。
    間食も、腸の規則正しい働きを乱すので、あまり多いと好ましくありません。若い女性に多い無理なダイエットも腸に負担をかけます。1日3食、決まった時間にきちんと食事をする習慣づけることが大切です。
  • 腸内環境を整える
    1人1人の腸内には、およそ100種類、100兆個もの細菌がすみついています。
    腸内細菌には、人の体によい影響を及ぼすいわゆる「善玉菌」と、悪い影響を及ぼす「悪玉菌」があります。さらに、「日和見菌」といって、抗菌薬の服用などで、いつもいる善玉菌と悪玉菌の両方が一気に減ったときに、急激に増えてトラブルを起こす菌もあります。
    善玉菌と悪玉菌は、食生活や健康状態によって、その数が増減します。健康な腸とは、善玉菌と悪玉菌のバランスがとれている状態です。腸内環境を健康に保つためには、善玉菌である「ビフィズス菌」などの乳酸菌や、「プロパイオテイクスを含む食品をとることをお勧めします。

ポイント2「適度な運動」

適度な運動を腹筋を鍛えることも大事

適度な運動は全身の血行をよくして、胃腸の化・吸収を高めます。
運動の種類は、適度な強度のものであれば、ウォーキングや水泳など、何でもかまいません。自分でできる範囲の運動を習慣づけるようにするといいでしょう。
特に、お年寄りは運動不足の傾向が強いうえに、服用している薬の種類によっては、薬の影響で、腸の動きが鈍くなることがあります。適度な運動で腸の活動を促すようにしましょう。
また、腹筋が弱っていると、腹庄がかけにくくなり、便を押し出す力も低下してしまいます。日ごろから、腹筋や全身の筋肉を鍛える運動を行うようにすると効果的です。

下腹マッサージも有効

トイレに入っても便がなかなか出ないというときは、下腹部をマッサージしてみましょう。手のひらで「の」の字を書くように、時計回りにマッサージをすると、腸に刺激が伝わつて腸の動きが活発になります。

ポイント3「ストレスのない生活

ストレスのない生活が腸の健康に欠かせない

脳と腸は、自律神経によって結ばれています。そのため、脳がストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れ、腸に影響が出てしまいます。もちろん、ストレスのない生活を送ることができればよいのですが、現実の生活でストレスを完全になくすことは困難です。
ストレスに慣れて、ストレスをストレスと感じないようにすることも大切です。「休養をたつぷりとる」「ストレスを解消できるような趣味をもつ」など、心身をリラックスさせる方法を見つけるのもよいでしょう。
便秘や下痢の多くは、生活習慣に気をつけて、ふだんどおりの生活を送っていけば、解消していきます。腸の健康のためには物事を気にし過ぎず、大らかな気持で過ごすことも必要です。

サブコンテンツ

このページの先頭へ